株式会社二戸サントップ矢野専務取締役 兼 工場長・加藤技術部長・田村様 | 株式会社カルティブ 株式会社カルティブ

インタビュー

株式会社二戸サントップ
矢野専務取締役 兼 工場長・加藤技術部長・田村様

「東北の人の真面目さや温かみを製品で表現できたら」
縫製工場の挑戦に伴走する楽しさとよろこび。

二戸サントップ

株式会社二戸サントップ

国内外のさまざまなブランドのメンズスーツやジャケットを手掛ける縫製企業。
パターン作成によるデザインの提案から生産まで、一貫して自社で対応できる設備を持ち、クラシックな洋服づくりの技術継承を事業の軸としている。
レベルの高い技術者集団でとして真剣に服づくりに向き合い「技術とデザインの融合」を実現。手がけた製品はパリコレクションなど、最先端のファッションシーンに携わっている。

インタビュー:
株式会社二戸サントップ
矢野専務取締役 兼 工場長
加藤技術部長
カルティブ 竹村

「新しいものをいち早く取り入れて、トライしていく」文化で
成功体験を共有できた。

− 二戸サントップについてご紹介をお願いします。

矢野
クラシックな紳士のスーツを基本に作っている工場です。平成10年に設立で、設立23年になります。現在は国内のブランドに加え、ニューヨークやオーストラリアといった海外のブランドとお取引をしています。
他の縫製工場よりもデザイン性の高い製品を取り扱いますが、スーツ本来のクラシックな部分も大事にしています。私はこちらに勤務して16年になります。
加藤
私は、パタンナーとしての経験を活かし、設計や技術的な部分を担当しています。
同じくサントップグループの秋田の工場におりましたが、1年ほどコミュニケーションする期間を設けて先日着任いたしました。

− どういったきっかけでカルティブをお知りになったんですか?

竹村
二戸市の産業支援事業の一環でカルティブで情報発信勉強会を開催したのがきっかけです。2020年は情報発信の勉強を一緒にやってきました。
2021年度に変わるタイミングで「ブランディング、地域における活動を考えたい」というご要望をいただきました。
当初はCIのアップデートというご相談でしたが、オンラインでの工場見学会の開催など企画や施策に携わるようになり、そのコミュニケーションの中で、二戸サントップさんに企業としてのポテンシャルを感じたんです。コロナの影響もあって、メーカーさんからの製品製造だけではなく、自社ブランド事業の準備についてご相談いただきました。
カルティブのコンセプトである「伴走」による事業支援を行うこととなりました。
新しいチャレンジを形にしていく「新規事業」、CI、デザイン面での「ブランディング」、新規従業員の「採用活動」。
現在、この3軸についてご一緒させていただいています。どれも新しい挑戦がついて回るので、それぞれ形にしていければと思っています。

− 二戸サントップに感じたポテンシャルについてお聞かせください。

竹村
二戸サントップさんは、フォーマルスーツの技術が基礎にあることと、メーカーさんのスーツを委託製造を受けてきたため、縫製の技術力はしっかりお持ちです。
ただ、二戸サントップだけではないんですけど委託製造のビジネスモデルだと、自社のことを発信する力がどうしても弱くなってしまう、という課題がありました。
縫製工場の一般的なイメージに工場特有の単純作業みたいなものがあると思うのですが、二戸さんトップさんの施設を見ると、圧倒的な規模と、従業員の技術性にいい意味で裏切られるんです。そういうことを含め「いいモノ作り」をもっとブランドとして社会に伝えていけたらと思っています。
矢野
採用関連の支援もありがたいです。
一緒に学校を訪問していただいたり、今まで出ていなかったようなイベントにも参加するようになりました。これまでは高校の卒業生をメインの採用対象にしていましたが、専門学校にシフトする施策を現在進めています。その際に「二戸サントップをどう見せていけば魅力的に伝わるか」という視点をカルティブさんには提供していただいています。
竹村
私が以前盛岡の教育の現場にいたので、そのネットワークも繋がせていただいたりもしました。高校生に見せる見せ方と、専門学校生に見せる見せ方は、受け取り手側の理解が違う分、大きな差があるんですよね。
矢野
専門学校生には、企業としての強みの部分をもっと強調しないと、なんです。
カルティブさんとの取り組みとしては、オンライン方面の取り組みというのもありますね。
竹村
そうでしたね。コロナ禍が始まって、オンラインの文化が急速に広まった時に、二戸市でZoomの勉強会を開催させていただいたんです。メーカーさんとのやりとりや、採用の応募にくる学生さんに対していち早くその体制を用意できたのは、我々の一つの成功体験です。
田村
ある大きいメーカーさんからも「もうその体制あるの!すごいね」とお褒めの言葉をいただきました。
竹村
うれしいですね!
田村
今年も、東京やパリ在住の方からの応募がありました。こういったご縁はオンラインでの業務体制が用意できていなかったらなかったものと思います。
竹村
カルティブの持つ「新しいものをいち早く取り入れ、トライしていく文化」をいい形でお渡しできました。

"オーダースーツ"という文化を体感しながら、
チームワークのそれぞれの強みが活かせる機会。

− 新事業である自社ブランドについてお聞かせください。

矢野
スーツとコートの商品展開を考えています。
メーカーさんからの受注生産というビジネスモデルから一歩外に踏み出せるというメリットはありますが、お客様に受け入れていただけるブランドに育てて行けるか、慎重に取り組む必要があると思っています。
竹村
現在二戸サントップさんが取り扱っている製品はデザイン性が高いものが多いので、「ベーシック・スタンダードな服づくり」とは若干異なります。服づくりの基礎力補強や技術継承を二戸サントップ内部につなげることも期待しています。
矢野
元々、何度かチャレンジしようとしていた取り組みではあるんです。
今回は岩手県の主導する縫製関連のプロジェクトに参画する形になりました。自社製のオーダーコートを新商品開発という形で展開します。もう一方で、オーダースーツをふるさと納税の返礼品として取り入れていこうとしています。どちらの製品も、生地や技術の品質でブランディングできると思っていまして、当面はその取り組みに注力する期間になりそうです。

− カルティブにどういった印象をお持ちですか?

矢野
我々は「モノをつくる」ということしか知らず、「発信」という点は本当に弱かったんです。なので、カルティブさんの「発信力」に力強く支えられています。
この点についてはただただ、引っ張ってもらうしかないと思っています。

− カルティブから見たサントップさんの印象はどうですか?

竹村
WEBやWEBマガジンといった情報の取り扱いのコンサルティングや仕組みの設計はカルティブの得意とするところなんですが、工場といった業態の取引先はそれほど多くありません。なので、経営やマーケティングの支援を「どの切り口から取り組もう?」と考えることを楽しんでいるところはあります。"オーダースーツ"という文化を体感しながら、楽しんでプロジェクトに当たっています。先述した「ポテンシャル」というのはそういった我々にとっての面白さも含まれているのかな、と思いますね。
また、経営支援を得意とする池田、技術的な支援ができる河田、CIなどデザインでの表現が得意な竹村..."オーダースーツ"という産業に対して我々のチームワークのそれぞれの強みが活かせるまたとない機会となっています。
「ポテンシャル」といえば、まず、工場の空間に圧倒されませんか?

− 圧倒されます。迫力もそうですし、イメージしていた空間とのギャップもあって。

竹村
内部にいる方からすると当然の風景かもしれませんが、この「圧倒」や「面白さ」は二戸サントップの外部にいる我々だからこそ感じる新鮮な感動です。そういう感覚も表現したいです。

ブランド名と同時にスタンスでもある「Madeni」
自主的に価値を発信することで、企業のよさを育てていけたら。

− 最後に、新事業への意気込みを聞かせてください。

加藤
現在、アパレルという産業において、スーツ産業は苦境に立たされていると感じています。縫製工場自身も、業界の活性化に向けて発信力を高めていくことが必要な時代になってきたと感じています。自社ブランドを立ち上げ、自主的に価値を発信することに、表現する意味や、やり甲斐があるのだと思います。
田村
その一方で、自社ブランドを立ち上げ育てていく中で、改めて自社への愛着や自尊心も同時に育てていけたらと思っています。その結果、この会社がよりいい会社になっていったら、と。そういった作用にも期待したいです。
矢野
私は、自社ブランドにおいて東北の人の温かみを表現したいです。
「Madeni」というブランド名は、この辺りの方言で「コツコツ丁寧に、真面目に」という意味なんです。その真面目さや温かみといった気質を製品で表現できたらと思っています。
竹村
事業においては「やってみなきゃわからない」ようなことはたくさんありますが、やる前に協議することも多くあります。カルティブの取引先の多くは「よしやってみよう」と決断するのが早いように感じられて、それは非常にありがたく嬉しいことですが、同時に事業を進めていく”丁寧さ”も必要となります。
「Madeni」のコンセプトは二戸サントップさんの気質ですが、我々も同じスタンスで丁寧にコツコツと一緒に走っていけたらと思います。

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