PMI日本支部 SDGsスタートアップ研究分科会髙橋様・竹田様 | 株式会社カルティブ 株式会社カルティブ

インタビュー

PMI日本支部 SDGsスタートアップ研究分科会
髙橋様・竹田様

お互いの成功がお互いの事例になれたら。
riverのプロジェクトの成長はSDGsスタートアップ手法の成長に

一般社団法人PMI日本支部
SDGsスタートアップ研究分科会

PMI日本支部は、世界最大のプロジェクトマネジャーの団体「Project Management Institute:プロジェクトマネジメント協会」の日本における支部として、日本でのプロジェクトマネジメント(PM)の普及を目的に活動している。各種イベントや研究会の開催、出版を通じて、プロジェクトマネジメントスキルの研究と研鑽を行っている。
SDGsスタートアップ研究分科会は、内閣府の「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」の活動として、SDGs事業に即したプロジェクトマネジメント手法の普及・促進を目的とし、仮説検証を繰り返しながらSDGs事業の立上げ・推進を行う「SDGsスタートアップ方法論」の開発と研究を行っている。

インタビュー:
PMI日本支部 SDGsスタートアップ研究分科会
 髙橋様
 竹田様
カルティブ 小坪

社会課題を解決するための新しい方法論を創出する
その実践として選ばれたカルティブのプロジェクト「river」

− PMIの活動の概要をお願いします。

髙橋
アメリカに本部があるプロジェクトマネジャー個人を会員とする団体です。会員は全世界で66万人、日本では約5千人おります。
プロジェクトマネジメントに関する様々なグローバル標準を開発・普及していて、それらの資格認定制度を運営しています。最も基本的なPMP(Project Management Professional)は全世界で約120万人、日本で4万人の資格保持者がいます。
本部は1969年に発足して一昨年50周年を迎えました。日本支部は1998年に東京支部として設立されて今年で23年になります。
竹田
会員はすべてボランティアで数多くの研究活動やイベントを行っています。全般的には情報システム開発に携わっているIT系の方が多いですが、製造業や建設業、製薬業での製品開発や業務改善のプロジェクトマネジャーもいて様々な分野に活かされています。

− これまでどう言った活動をされてきたんですか?

髙橋
私は元々は外資系の会社で生産管理の業務コンサルタントでした。
当時、ERPというパッケージシステムが流行って、様々なプロジェクトが生まれたんですが、失敗するものも多くありました。その原因の多くは上流の要件定義どおりに下流のシステムが対応できず、想定されていなかった追加開発が生まれ予算が膨れ上がるというケースでした。
コンサルティングと開発は同じ部門が携わるべきだという考えでERPコンサルティングというセクションが生まれ、要件定義からシステム開発まで一気通貫でやることになりました。
元々はコンサルであってPMではなかったんですが、実践の場でPMの勉強をして後にPMPの資格を取得しました。
その当時に学んだ開発手法を源流として、のちにソーシャル・プロジェクトマネジメントの手法、さらにはSDGsスタートアップの方法論の開発に発展しています。
小坪
その当時から「方法論を開発し続けている」ということですね。
髙橋
そうです。コンテンツを作るためのコンサルティングから始まり、プロセスが適切でなければ良いものが作れないことが分かり、 "コンテンツを作るプロセス"のコンサルティングを重視することになりました。
小坪
「"コンテンツを作るプロセス"のコンサルティング」という部分がriverのプロジェクト組成と同じ着眼点にあるんです。
髙橋
まさにそうなんです。パフォーマンス向上のためにはプロジェクト・プロセスが重要で、コンテンツ作りの成功はプロセスの最適化に掛かっています。これはメーカーでいう「品質管理」と「品質保証」の関係と同様です。

− カルティブとPMIの接点はどこにあるんでしょうか?

小坪
地方創生SDGs官民連携プラットフォームという内閣府のプラットフォームがあり、その中の分科会に「SDGsスタートアップ研究分科会」があります。
その中にベーシックコースとアドバンスコースがあり、アドバンスコースの初回の参加団体として2事例が手を挙げました。その内の1事例が弊社のriver事業になります。
SDGsスタートアップ研究分科会が出来るまでの経緯はどのようなものでしたか。
髙橋
2011年の東日本大震災の時に、災害復興支援のプロジェクトが多く立ち上がりました。PMIの理事会でそれらの支援をすることが決まり、災害復興支援プログラムというものを走らせました。3年ほど動いたところで、社会課題を解決するためには従来の方法論だけではうまくいかない、ということに気付かされたんです。社会課題を解決するための新しい方法論を創出する必要があり、2014年にソーシャルPM研究会が発足しました。

2015年からSDGsの取り組みが世の中で始まり、2018年に「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」にPMI日本支部も参加しました。
社会課題解決の方法論は、企業の経営計画を立てるのと大きく違います。地方創生プラットフォームの複数の分科会に私たちが分担して参加したところ、企業に所属されている方の多くが社会課題に取り組んだ経験はあまりなく、トップからSDGs事業に取り組むように言われてもどこから始めるべきか迷っているケースが多く見られました。

実際、社会課題では顧客ターゲットも価値提案も、企業の事業計画の立て方では見えてこないことが多いんです。ソーシャルPM研究会で方法論を模索した結果「リーンスタートアップの手法を応用できるのではないか」という仮説が見えてきました。そこから始まったのが「SDGsスタートアップ研究分科会」です。
PMIの中では異端のセクションになりますが、PMIの戦略もいま大転換に差し掛かったようで、この研究の展開は今後いっそう重要なものになり、今研究している方法論が世界に拡がっていくことを期待しています。

小坪
それは楽しみですね! 日本の地方を元気にするためにも、海外との繋がりや海外事例の知見は持ちたいです。river事業がSDGsスタートアップ手法の先進事例として海外に拡がっていけると嬉しいです。失敗や成功に裏付けられたノウハウやネットワークの積み重ねで、いろいろな人たちを受けいれられるサービスに成長していければと思っています。
小坪
riverはサービスではなく「場所」になっていきたい、と思っています。より一般的な位置にあってさまざまな人を受け入れていきたい。そんなプラットフォーム(=場所)としてのブランディングもご相談したいです。
髙橋
プラットフォーム・ビジネスは巨大企業でなくても可能です。SDGsスタートアップのプラットフォーム・ビジネスへの適用モデルとしてカルティブさんのケースには期待しています。参考資料もいろいろありますので一緒に研究していきましょう。
小坪
是非、お願いします!

研究会での努力で得たものを、
発揮するタイミングはすぐにやってきた。

− 次に、竹田さんのお話を聞かせてください。

竹田
私は元々はITの会社にいました。官公庁の入札要件でPMPの資格が必要だったので取得したというのが、PMIとの接点になります。
それからずっとシステム開発のPMをやっていました。PMPの資格を取得してからすぐ会員にはなったんですが、積極的に活動への参加はしていませんでしたが、髙橋さんが立ち上げたSDGsスタートアップ研究分科会に惹かれて活動に参加するようになりました。
シブヤ大学というNPOへの参加がソーシャル活動との出会いでしたが、その活動とリンクしたというのが実際のところです。2018年の5月にファンドレイジングのスクールで小坪さんと知り合いました。
小坪
はい、当時私は前職の会社に勤めていて、そういう研究会や勉強会にも足を運んでいたんです。
でも私と髙橋さんはまた別の文脈で知り合ったんです。本当にすごい偶然なんです。
髙橋
2020年の1月に私が参加していたあるNPOの理事長が企業版ふるさと納税に関心を持たれ、小坪さんを呼んで講演をしてもらいました。その講演を聞いて「これだ」と思うところがあったんです。自治体の地域再生計画の中で、地域のプロジェクトと企業版ふるさと納税の寄附企業とをマッチングさせるというカルティブさんの活動は、コンテンツの創出にあたります。
我々は、コンテンツ作りのプロセスをマネジメントすることが仕事なので、良い相性で連携ができると思って声をかけました。そこに竹田さんを誘って、小坪さんを紹介しようとしたら既に旧知の仲だったんです。
小坪
お声がけいただきSDGsスタートアップ研究分科会のアドバンスコースに参加させていただきました。ベーシックコースはすでに終了してしまっていましたので、その代わりに大量の宿題をいただき、5月から9月はインターンの須藤と私でめちゃくちゃワークをこなしました。かなり追い込まれましたが、本当に面白かったです。
riverのローンチは2020年4月1日だったので、アドバンスコースで学んだことを実践するタイミングがすぐ来ました。本当にいいタイミングでお声をかけていただきました。
竹田
絶妙なタイミングでしたね。それも小坪さんと須藤さんの頑張りがあったからだと思います。
髙橋
ソーシャルPMは起業の方法論なので、提供するものとしてはriver事業の立上げと完全にマッチしました。
小坪さんの持っていたriverの事業計画資料に、あれこれとアドバイスを入れたのですが、本当に丁寧に実行してくれたと思います。カルティブやriverは、ソーシャルPMの研究からすれば「優等生」のプロジェクトといえます。
小坪
ありがとうございます!

− 髙橋さんと竹田さんは、小坪さんの「先生」に当たるんですね?

小坪
基本的にはそうですが、そうでない部分もあります。
私は、ソーシャルPMの手法を学んで、その手法を実行しています。その実行した結果をSDGsスタートアップ研究分科会にレポートすることは、ソーシャルPMの実践的なフィードバックになるわけです。なので、師弟関係というより二人三脚のイメージに近いかもしれませんね。実際riverのプロジェクトにおける失敗や成功は、翌年ののベーシックコースの改善に取り入れていると聞いています。
髙橋
SDGsスタートアップ研究分科会自体もまたスタートアップなんです。
2019年に立てた仮説をベースにカリキュラムを作って実行していますが、その仮説の検証も同時に行っています。
仮説を検証してくれる事業があってこそ、我々のプロジェクトは成立するのでとてもよい連携が出来ています。
小坪
SDGsスタートアップ研究分科会の手法をうまく活用し、river事業を通じて地域を元気にすることが小坪の希望と期待です。
同時に、高橋さんと竹田さんは、riverプロジェクトの成功を応援してくださっています。river事業の成功を目指す小坪のゴールと、手法の開発・事例作りを目指す高橋さん、竹田さんのゴールとは異なる2つのゴールですが、全く同じ方向を見ていると感じています。

「仕組みづくり」と「仕組みづくりの仕組みづくり」
両輪のシナジーがどういう影響を生み出すのか。

− カルティブ、riverについてどういう期待をお持ちですか?

髙橋
"守破離"という言葉があります。
典型的な手順を型通りに実践する時期、その型を拡張させる時期、その型を進化させる時期という流れで手法というものは実用化されていくんですが、riverはこの1年でもうその守破離のサイクルを回していて、ものすごいスピードの成長を目の当たりにしています。
小坪
ありがとうございます。こんなに褒めていただくと恐縮しますね。実は私は昔からフレームワークの活用が好きなんです。型を覚えたりフレームワークを埋めていく作業が楽しいんです。同時に、一度はめてみた型・埋めたフレームワークを守れないという性分も持っていまして、そこが「破」として作用しています。
思考の整理のためにフレームワークは活用しますが、行動するフットーワークの軽さの阻害になりそうならすぐ壊しちゃう。その繰り返しの中で、独自の考え方としての「離」が生まれている気がします。
riverのスコアは現在「◎(二重丸)」に及ばない「○(丸)」です。しかし、「◎(二重丸)」を取れる可能性が高まっているとも感じています。市場が順調に成長しているので、我々が努力を怠らなければきっと「◎(二重丸)」を取れます。
髙橋
この1年半でこれだけのことを実践できたのはすごいことですよ。
現在小坪さんは評価システムの構築をしようとしていますが、これは我々のフレームワークでもまだできていないんです。
我々が現在研究しているのは汎用的な評価システムですが、小坪さんがより実用的な評価システムを作ろうとしているんですね。リアルケースからのフィードバックほど成長させてくれるものはありません。
竹田
既にこちらからは、あれこれいう時期ではないのかもしれません。アドバイスをしているというよりは、自分もプロジェクトの一員のような感覚を持っています。river事業の検討を自分事として行っています。
小坪
確かに、外部からアドバイスをいただいている感覚はありません。事業を一緒に推進するメンバーのように感じてしまっています笑
髙橋
「仕組みづくり(=river)」と「仕組みづくりの仕組みづくり(=SDGsスタートアップ手法)」という両輪でシナジーを生み出すという、とても面白いことになっています。こういったコラボレーションを継続していけたらと思います。
小坪
「お互いの成功がお互いの事例になる」という関係が継続・実現できたら本当にうれしいですね。引き続きよろしくお願いします!

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